物理 学習ロードマップ|力学
v8(2026-09-09):力学のセクション番号を指導順に振り直した(旧 M-2剛体→M-4/旧 M-3運動の法則→M-2/旧 M-3補→M-2補/旧 M-4エネルギー→M-3。M-1 と M-5〜M-10 は変更なし)。あわせて 〈基〉(良問の風の物理基礎マーク)と「物理基礎 ここまで」の区切りを入れた。問題そのものは1問も動かしていない。 番号の新旧対応は
運用ルール_物理44セクションの番号と物理基礎の線引き.md。
速度と加速度 → 運動方程式(+束縛条件) → エネルギー →〈物理基礎ここまで〉→ 剛体 → 運動量 → 保存則の併用 → 慣性力 → 円運動 → 単振動(4分割) → 万有引力
Lab.NaNa / 良問の風 問1〜53 + 名問の森【力学・熱・波動I】問1〜45
このロードマップの使い方
上から順にやる。 M-1 から M-10 まで、実際に教える順に並べてあります。飛ばさないこと。
良問の風の並びと違うところが3か所あります。
- 順番。 良問の風は 速度と加速度 → 剛体 → 運動の法則 の順ですが、剛体は物理、運動の法則は物理基礎です。物理基礎で止まる人が剛体でつまずくのは順序が逆なので、剛体を M-4 に移してエネルギーの後ろにしました。
- M-2補(束縛条件)は良問の風に無い項目です。良問の風にもエッセンスにも名前が出てこないのに、問15・16・19・20・23 で使わされるので、M-2 と M-3 のあいだに1枚だけ挟んであります。
- M-9(単振動)を①〜④に分けたこと——良問の風6問に対して名問の森が13問あるので、1つに収まりませんでした。
どれも、問題そのものは1問も動かしていません。並べ方を変えただけです。
〈基〉は物理基礎の印です
『良問の風』は、問題番号の右に囲み文字「基」を付けています。物理基礎の知識だけで解ける問題、という意味です。全154問中25問、力学は 問1・2 と 問13〜24 の14問。このロードマップでは 〈基〉 と表記しました。推測ではなく、本の印をそのまま拾っています。
M-3(エネルギー保存則)の下に「物理基礎 ここまで」の区切りを入れてあります。物理基礎で止まる人は、そこまでです。
各セクションは4つの欄でできています。
| 欄 | 何をする |
|---|---|
| 身につけること | ここで何ができるようになればいいか。先に読む |
| 解く問題 | ①良問の風 → ②名問の森の順に積む。□にチェックを入れながら進める |
| 調べる | 詰まったら開く。物理のエッセンスのページ |
| 動画で見る | それでも分からないときの映像。スタディサプリ |
「解く問題」は、これから増えていきます
この欄は、ここまでに渡した問題集が積み上がっていく場所です。今は① 良問の風(本線)/② 名問の森(上位)の2層ですが、新しいテキストを渡したら、その都度この欄に足していきます。
- ①を一周してから②へ。 ②から始めないこと
- ②は全部やらなくていい。 セクションによっては13問あります。「まずこの4問」と書いてあるところは、そこだけで十分
- ①と②で同じ型が出てきます。 それが狙いです。名問の森は、良問の風で使った道具の"上乗せ"を明示的に書いてくれるので、2回目に効きます
3層の設計:物理のエッセンス(辞書)→ 良問の風(演習)→ 名問の森(上位演習)。これは出版社側の設計とも一致していて、名問の森の本文の中に「☞エッセンス(上) p.24」のような参照が実際に出てきます。バラバラの3冊ではなく、1本の線です。
順番は「解く → 詰まる → 調べる → それでも駄目なら見る」。 最初から動画を見ない。自分がどこで詰まるかを知ることが目的です。
動画(スタサプ)の3段の落とし方
| 段 | 講座 | いつ使う |
|---|---|---|
| ① | 高3 トップ&ハイレベル物理(48講) | まずここ。良問の風とほぼ一対一 |
| ② | 高3 スタンダードレベル物理(24講) | ①が速すぎたとき |
| ③ | ベーシックレベル物理(16講)/ベーシックレベル物理基礎(9講) | ゼロから積み直すとき |
読み方の注意が3つあります。
- 3段そろっているセクションと、①と③しかないセクションがあります。 無い段は手抜きではなく、その講座に存在しないということです。
- 自分のコース以外も見られます。 「ベーシック」と書いてあっても遠慮なく見てください。
- ①の講は「単元講義1本+問題解説3本」でできています。 「第◯問解説」は問題の解き方なので、単元を習うつもりで見ると当てが外れます。このロードマップには単元講義のPART名だけを書いてあります。M-2 だけは、当たる講が丸ごと問題解説なので注意書きを付けてあります。
力学でいちばん大事なこと
力学は、公式を覚える分野ではありません。「どの法則を使うか」を選ぶ分野です。
使える道具は3つだけ。どれを選ぶかは、問題文が何を聞いているかで決まります。
| 問題文がこう聞いていたら | 使う道具 | なぜ |
|---|---|---|
| 時間・加速度 | 運動方程式 ma = F | 時々刻々を追える唯一の道具 |
| 始点と終点の速さ・高さ・距離だけ(途中は聞かれていない) | エネルギー保存 | 時間という未知数を持ち込まずに済む |
| ぶつかった・分かれた・くっついた | 運動量保存 | 衝突の中身が分からなくても使える |
迷ったら「時間が要るか」を自分に聞く。 時間が要るなら運動方程式、要らないならエネルギー。エネルギーからは時間が出ません。 逆に、経路が曲線で複雑なら運動方程式では追えないので、迷わずエネルギーです。
日本語を式に翻訳する(力学の8割はこれ)
問題文の日本語を、そのまま式に置き換えられるかどうかで決まります。
| 問題文の日本語 | 式に直すと |
|---|---|
| 「面から離れた」「浮いた」 | N = 0(垂直抗力がゼロ) |
| 「糸がゆるんだ」 | T = 0(張力がゼロ) |
| 「すべり出す直前」「傾き始める直前」 | f = μN(最大静止摩擦) |
| 「一定の速さで」「静止している」 | a = 0 |
| 「台上の最高点」「台に対して停止した」 | 相対速度 = 0(2つが同じ速度) |
| 「一体となった」 | 衝突後の速度が共通(未知数が1個) |
この表を横に置いて問題を読んでください。 どの法則を選ぶかより先に、まず日本語を式にする。
位置・長さ・角度を聞かれたらモーメント
力の大きさを聞かれているならつり合い、位置や長さや角度が絡んだ瞬間にモーメントが要ります。機械的にそう判断してかまいません。
M-1 速度と加速度
ここでやること:座標を引くこと。 物理の最初の一歩です。
身につけること
- 正の向きを自分で決める。 速度も加速度も符号をもつ量です。「上向きを正にする? 下向きを正にする?」を毎回声に出す
- 等加速度の3公式は、消したい文字で選ぶ
- 時間を答える →
v = v₀ + at - 距離と時間の両方が絡む →
x = v₀t + ½at² - 問題文に時間が一度も出てこない(速さと距離だけ)→
v² − v₀² = 2ax。ここで前2本を連立し始めるのが典型的な遠回り
- 時間を答える →
- グラフが与えられていたら公式を使わない。 傾き=加速度、面積=変位。読むほうが速くて正確です
- 放物運動は、2つの直線運動の重ね合わせ。 水平は等速、鉛直は等加速度。分解 → 別々に立式 → 時間 t で連立。ベクトルのまま扱おうとすると詰みます
- 最高点で「速度が0」ではありません。 0になるのは鉛直成分だけ。水平成分は最後まで生きています
- 反発係数は、面に垂直な成分だけ e 倍。 平行成分は変わりません。衝突の瞬間で運動を区切って、区間ごとにやり直す
- 相対速度に持ち込むのは、2つの動く物体の関係だけを聞かれたとき。 地面基準で両方追ってもいいですが、式が倍になります
解く問題
① 良問の風
- 1〈基〉〔大阪産大〕v-t グラフの読み取り。傾きと面積で読む
- 2〈基〉〔大阪電通大〕エレベーターの3区間。文字式で表してから逆算
- 3〔東京海洋大〕川の往復と自転車。相対速度の初出
- 4〔九州工大〕水平投射から床ではね返り。区間ごとに追う
- 5〔東京工芸大〕動く台車から打ち上げ。台車から見れば真上に上がって真下に戻る
- 6〔宮崎大+神奈川工大〕斜方投射から壁に衝突。本セクションの総合問題
② 名問の森【力学・熱・波動I】§1 放物運動(良問の風 問1〜5 を終えてから)
- 問1〔信州大+滋賀医大〕Level ★★〜★/p.8 モンキーハンティング。相対運動で見ると一瞬で終わります
- 問3〔島根大+愛知工大〕Level (1)★★ 他★〜★★/p.13 斜面上のバウンドを無限に繰り返す。斜面に沿って x 軸、垂直に y 軸を取り直すのが鍵
- 問2〔都立大+名城大〕Level (1)t₁★★ 他★/p.11 斜め衝突。M-5(反発係数)を終えてから。面方向の速度は不変、垂直方向だけ e 倍
- 順序:問1(相対運動)→ 問3(斜面分解+級数)→ 問2(M-5 の後)
調べる(物理のエッセンス【力学・波動】編)
- 速度と加速度…p.8/v-t グラフ…p.9/等加速度の3公式…p.10/落体…p.11/放物運動…p.12〜13/反発係数…p.14/相対速度…p.15〜16
- ★ p.9 のグラフの読み方が問1そのもの。公式より先にグラフ
- ★ p.14「反発係数は面に垂直な成分だけ e 倍」
- 数学が足りないと感じたら:ベクトル…p.161/微分と速度・加速度…p.163〜164
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第1講「速度・加速度」
- ②スタンダード 第1講「速度,加速度,等加速度運動」/第2講「ニュートンの運動の3法則」
- ③ベーシック物理基礎 第1講 PART1〜7(速さ/速度/速度の合成と相対速度/加速度/等加速度直線運動の公式/自由落下/鉛直投げ上げ・投げ下ろし)
M-2 運動の法則
⚠ このセクションだけ、動画の当てが外れます
良問の風で使う「摩擦力」「束縛条件」に当たるスタサプの講(第4講・第5講)は、中身が問題解説だけで、単元講義が入っていません。 見に行っても解説しか出てこないので、単元として習いたいときは第3講と②③を見てください。 第4講(摩擦力)は一周したあとの演習に使うと有効です。
束縛条件は、そもそも良問の風にもエッセンスにも項目がありません。 直後の M-2補 で独立して扱います。
身につけること
- 加速度が0でなければ、必ず
ma = F。 つり合いは a=0 の特別な場合にすぎません - 手順を型にする。①着目物体を1つ決める ②その物体が受けている力を全部描く ③正の向きを決める ④
ma = Fを書く。「力を描く」で漏らすのが最大の失点源です - 2物体は「分けるか、まとめるか」
- 張力や物体間の垂直抗力を答える → 分けて2本立てて連立
- 全体の加速度だけ欲しい → まとめて1本(内力は消える)
- 実戦では「まず合体で a を出し、次に片方だけで内力を出す」の2段構えが最速
- 作用・反作用は「別の物体」に働く。 同じ物体に働く2力(つり合い)と混同しないこと
- 摩擦は「動いているか」で分岐する
- すでに滑っている →
μ'Nを確定値として代入 - 静止 or 一体で動いている → f を未知数のまま置く。求めた f が μN を超えていたら「実は滑っている」
- すでに滑っている →
- 「静止している」と書かれていても、台ごと加速していれば a ≠ 0。 誰から見て静止かを必ず確認
- 終端速度は、運動方程式に a=0 を代入するだけ。 エネルギーを持ち出す必要はありません
- ★ 未知数が式より多くなったら、束縛条件を探す(これは良問の風に名前が出てきません)
- 足りないのは力の式ではなく「つながり方」の式です。糸(速さ・加速度が等しい)/動滑車(
1/nとn倍)/接触(加速度が等しい) - 型の一覧・数え方・使い分けは、次の M-2補 にまとめました
- 足りないのは力の式ではなく「つながり方」の式です。糸(速さ・加速度が等しい)/動滑車(
解く問題
① 良問の風
- 12〔工学院大〕斜面を滑り降りて水面へ。斜面の運動方程式 → 放物運動
- 13〈基〉〔愛知工大+室蘭工大〕平板上の物体。動摩擦係数を距離から逆算
- 14〈基〉〔山形大+徳島大〕斜面をもつ台+吊られた物体。着目物体の切り替えが要
- 15〈基〉〔武蔵工大+北海道工大〕定滑車+糸3本。張力を答えるので必ず分ける
- 16〈基〉〔富山大+横浜国大〕斜面+滑車+おもり。3段階に区切る
- 17〈基〉〔信州大〕気球と小物体。「一定の速さで上昇」= a=0
- 18〈基〉〔岐阜大+東京大〕空気抵抗。終端速度から μ と k を逆算
- 19〈基〉〔岡山大〕段差台の上の小物体。速度が等しくなる時刻が立式のキー
- 20〈基〉〔神奈川大+玉川大+鹿児島大〕板と小物体。「一体 or 滑る」の境界を求める総仕上げ
② 名問の森【力学・熱・波動I】§3 運動方程式(良問の風 問12〜20 を終えてから)
- 問7〔九州大〕Level ★/p.23 綱+おもり。(3) 上端から x の範囲の綱を注目物体にする(質量が連続分布する物体)
- 問8〔兵庫県立大〕Level ★/p.26 斜面+滑車+上に乗せた物体。「それぞれの運動方向を正として運動方程式を立てる」
- 問10〔鹿児島大+名古屋市立大〕Level ★/p.31 箱の中の小物体。(5)(6) は箱に対する相対運動
- 問9〔信州大〕Level (1)★★ 他★/p.29 ゴンドラ+体重計。「『人が綱を引張って』に引きずられない。人が受けている力を図示する」
- 順序:問7(注目物体)→ 問8(正の向きの取り方)→ 問10(相対運動)。問9 は定性的なので、自分の理解を試したいときに
調べる
- 作用・反作用…p.37/作用・反作用とつり合いの違い…p.38/運動方程式…p.39/運動方程式を立てる3ステップ…p.40/慣性の法則…p.41/一体化の見方…p.42/糸の張力…p.43/動滑車…p.44/板の上を滑る物体…p.44〜45
- ★ p.45 Q&A「動いている板から受ける動摩擦力の向きはどう決めるか」。「速度の向きと逆」は固定面のときの話で、板が動いているなら板に対する相対速度と逆向き。問19・問20 の急所
- ★ p.45「B の式を
(m+M)a=で始める人が非常に多い」。運動方程式の質量項は注目物体の質量 - ★ p.44 動滑車のトク。束縛条件はエッセンスにも独立した項目が無く、ここが唯一の記述です
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第3講「運動方程式」
- ⚠ 第4講(摩擦力)は全部が問題解説。一周後の演習に
- ⚠ 第5講(束縛条件)も全部が問題解説。こちらは次の M-2補 の「解く問題②」で使います
- ②スタンダード 第3講「静止摩擦力・動摩擦力」/第4講「運動方程式」
- ③ベーシック物理基礎 第2講 PART4〜7(運動の3法則/運動方程式/静止摩擦力/動摩擦力)
- ※ ベーシック(発展)はこの範囲を扱いません
M-2補 束縛条件——式が足りないときに探すもの
この項目は、良問の風にもエッセンスにも載っていません
「束縛条件」という名前は、良問の風にも物理のエッセンスにも出てきません。 スタサプの第5講がこの名前ですが、中身は問題解説だけで、講義は入っていません。つまりこの名前は、どの本を読んでも手に入りません。 それなのに問15・16・19・20・23 は、これを知らないと未知数が余ります。ここだけ、このロードマップで補います。
身につけること
- 式が足りないとき、探すのはもう1本の「力の式」ではなく、「つながり方」の式です。 ここが全部です
- 足りないと気づくと、ほとんどの人は図に戻って力を探します。そこには無い
- 束縛条件は、力の話ではなく形の話。 「糸が伸びない」「面から離れない」「触れたまま動く」——この"形の制約"を、速さと加速度の式に翻訳するだけです
- 数えてから探す
- 着目した物体が n 個 → 運動方程式は n 本
- 未知数がそれより多ければ、多い本数だけ束縛条件がある
- 「なんとなく
a₁ = a₂と置く」ではなく、「1本足りないから1本探す」に変えてください
- 探す順番は 糸 → 接触 → 面。 高校物理ではこの3つ以外はほとんど出ないので、順に当たれば必ず見つかります
5つの型
- 型① 伸びない糸……糸に沿った速さも加速度も、大きさが等しい。滑車を挟むと向きだけ折れます
- 型② 動滑車……糸の本数を n とすると、荷重側は距離も速さも加速度も
1/n、引く側はn倍。仕事は変わりません(力が1/nなら距離がn倍)。問23 の「速さ1/2・距離2倍」はこれ - 型③ 接触したまま動く……加速度が等しい(離れるまで)。離れる=垂直抗力
N = 0 - 型④ 面に沿う……斜面上なら斜面方向の1次元。台そのものが動くなら、「台に対する変位」と「台の変位」を分けて置く
- 型⑤ 張った糸・棒で回る……長さが一定なので糸の向きには伸び縮みしない。円運動(M-8)はこの型です。糸はゆるんだ瞬間に消えます(棒は消えません)
使い方の注意
- 同じ束縛条件を、3つの書き方で使い分けます
- 運動方程式に入れる → 加速度で書く(問15・16)
- エネルギー保存に入れる → 速さで書く(問23)
- 仕事や距離を聞かれた → 距離で書く(問23)
- 問23 は1問でこの3つが全部出ます。 別の条件ではなく、同じ条件を書き換えているだけだと気づいてください
- まとめれば書かなくていい/分けたら必ず要る
- 張力や物体間の垂直抗力を聞かれていない → まとめてしまえば束縛条件は自動で満たされます
- 聞かれている → 分けて立てて、束縛条件を1本足す。張力を答える問題には、必ず束縛条件が要ります
- 符号の事故は滑車で起きます。 大きさは等しくても、1本の軸で通すと符号が逆になる。物体ごとに「その物体が動く向き」を正に取ると事故が減ります。どちらの流儀でもいいですが、1つの問題の中で混ぜないこと
- 束縛条件は「成り立っている間だけ」の式です
- 糸がゆるむ・面から離れる・滑り出すと消えます。消える瞬間の条件は
T = 0/N = 0/fがμNに達する - 逆に生まれることもあります(問19。速度が等しくなった瞬間から一体運動)
- 時刻で区切って、区間ごとに「今、束縛はあるか」を宣言してください。これは M-8(糸がゆるむ)・M-9(床から浮く)でそのまま使います
- 糸がゆるむ・面から離れる・滑り出すと消えます。消える瞬間の条件は
解く問題
⚠ 良問の風には、束縛条件の問題が1問も独立して入っていません。 だからこの項目だけ、①既に解いた問題の解き直し + ②スタサプ第5講の3問という組み方になります。②が、束縛条件そのものの演習が手に入る唯一の場所です。
① 解き直す(M-2 で解いた問題を、今度は束縛条件の目で見る。答えは出せているはずなので、見るのは下線部だけ)
- 15〈基〉〔武蔵工大+北海道工大〕定滑車+糸3本。型①。「加速度が等しい」を、式として1本書いたか
- 16〈基〉〔富山大+横浜国大〕斜面+滑車+おもり。型①+型④。おもりが着地した瞬間に束縛が消える——3段階目でその式を捨てられたか
- 19〈基〉〔岡山大〕段差台の上の小物体。束縛が生まれる側。
t₀の前後で、立てる式が別物になっているか - 20〈基〉〔神奈川大+玉川大+鹿児島大〕板と小物体。
F₀を「滑り出す条件」ではなく「一体でいられる条件」として立てられたか - 23〈基〉〔金沢大+大阪電通大〕定滑車+動滑車。型②。これは M-3 の問題です。M-3 を終えてから、この1問だけここに戻ってきてください。「速さ1/2」と「距離2倍」を両方とも自分で出せたか(片方しか出ないなら、公式として覚えています)
② スタサプ〈トップ&ハイ〉第5講「束縛条件」の3問(良問の風に無い型が、ここにある)
- 第5講「第1問」……必ず自分で解いてから解説を見ること
- 第5講「第2問」
- 第5講「第3問」
- この講には講義が入っていません(解説3本だけ)。上の「身につけること」を読んでから解くという順番で使ってください
- 映像を"見る"のではなく"解く"。それがこの講の正しい使い方です
③ 名問の森【力学・熱・波動I】§3 運動方程式(束縛条件を、名前を出さずに使わせてくる)
- 問7〔九州大〕Level ★/p.23 綱+おもり。注目物体の取り方が全て。「1本の糸の張力が両端で同じなのは、糸に質量がないから」——型①の根拠がここに書いてあります
- 問8〔兵庫県立大〕Level ★/p.26 斜面+滑車+上に乗せた物体。「それぞれの運動方向を正として運動方程式を立てる」=束縛条件の実装そのもの。別解の「加速度を水平と鉛直に分解する」は型④を成分でやる形
- 問10〔鹿児島大+名古屋市立大〕Level ★/p.31 箱の中の小物体。(5)(6) は箱に対する相対運動=型④。Miss「
m+Mとしてはいけない。注目物体の質量を!」 - 渡す順序:良問の風 15・16 → 23 → 20 → スタサプ第5講 → 名問の森 問8(符号の流儀)→ 問10(相対運動)
調べる(物理のエッセンス)
- 一体化の見方…p.42/糸の張力が両端で等しい理由…p.43/動滑車…p.44/板の上を滑る物体…p.44〜45
- ★ p.44 の「動滑車のトク」(A に比べて B は距離・速さ・加速度すべてが半分)が、エッセンス全体で唯一の束縛条件の記述です。項目としては存在しません
- ★ p.43 「糸の張力が両端で等しいのは、糸の質量が無視できるから」。型①の前提です
動画で見る(スタサプ)
- ⚠ 束縛条件の単元講義は、①②③のどれにもありません。 ここは授業で埋めます
- 第5講は「解く問題②」に回してあります。 講義ではなく演習なので、見る欄ではなく解く欄に置いてあります
- 土台が怪しいと感じたら戻る先(束縛条件そのものではなく、その手前)
- ①トップ&ハイ 第3講「運動方程式」
- ②スタンダード 第4講「運動方程式」
- ③ベーシック物理基礎 第2講 PART4〜5(運動の3法則/運動方程式)
M-3 エネルギー保存則
ここでやること:途中を全部すっ飛ばして、始めと終わりだけを結ぶ。
身につけること
- 運動方程式は顕微鏡、エネルギー保存は望遠鏡。 どちらを使うかは 「時間が要るかどうか」で決まります
- 時間・加速度が問われている → 運動方程式
- 始点と終点の速さ・高さ・距離だけ → エネルギー保存
- 経路が曲線・複雑 → 迷わずエネルギー
½mv² + 位置エネルギー = 一定。位置エネルギーは重力mgh、ばね½kx²- 位置エネルギーの基準は自分で決めてよい。 差しか意味を持たないので、最も低い点に取ると符号事故が減ります
- 垂直抗力は仕事をしません(運動方向と常に直交)。だからなめらかなら、曲面がどんな形でも高さだけで速さが決まる。これがエネルギーを使う最大の御利益です
- 摩擦があっても使えます。 消えるのではなく熱に化けるだけ。摩擦熱 = 動摩擦力 × すべった距離を引けば帳尻が合います
- ばねの
xは自然長からのずれであって、位置座標ではありません - 「仕事をした力」を問われたら、まず仕事0の力を消す。 垂直抗力・円運動の糸の張力・向心力は仕事0です
- エネルギーでは向きが出ません。 速さ(スカラー)しか出ないので、「どちら向きに動くか」は運動方程式か運動量で判断します
解く問題
① 良問の風
- 21〈基〉〔センター試験〕円弧のすべり台 → 放物運動。「重力の仕事」と「垂直抗力の仕事(=0)」を分けて問う
- 22〈基〉〔大阪工大+センター試験〕ばねで打ち出し → あらい面で静止。弾性エネルギー・摩擦熱・場合分け
- 23〈基〉〔金沢大+大阪電通大〕定滑車+動滑車。「速さ1/2・距離2倍」をエネルギーに持ち込む
- 24〈基〉〔大阪電通大〕斜面上のばね。静止摩擦と動摩擦を両方使う総合問題
② 名問の森【力学・熱・波動I】§4 エネルギー保存則(良問の風 問21〜24 を終えてから)
- 問11 Level ★/p.34 「運動方程式でも解けるが、エネルギー保存則で解かなければならないし、そのほうが早く解ける」——M-3 の解法選択そのものが書いてあります
- 問12〔京都工繊大〕Level ★/p.36 「外力の仕事=位置エネルギーの変化」。「『変化』といえば『後−前』」/「変化を調べるときは基準点は無関係」
- ⚠ 名問の森はここが2問しかありません。 物足りなければ、M-6 の問15〜19 が実質的な続きです
調べる
- 仕事…p.47/仕事=運動エネルギーの変化・仕事率…p.48/位置エネルギー…p.49〜50/力学的エネルギー保存則と成立条件…p.50/曲面上での適用…p.51/鉛直ばね…p.52/物体系…p.53〜54/摩擦熱=動摩擦力×すべった距離…p.55
- ★ p.51「保存則の威力は、運動方程式では解けない問題まで扱えること」
- ★ p.54 の2本の等式「保存力以外の力の仕事=力学的エネルギーの変化」「外力の仕事=位置エネルギーの変化」。問22・問24 に直結
- ★ p.55 Q&A「位置エネルギーが紙の表、力の仕事が裏。両方を同時に用いてはいけない」。重力の仕事と
mghの二重計上はこの一言で防げます - ★ p.52 Q&A「エネルギーはお金/失われたエネルギー=現れたエネルギー」
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第7講「仕事とエネルギー」
- ②スタンダード 第5講「仕事とエネルギー」「エネルギー保存則」
- ③ベーシック物理基礎 第3講 PART1〜5(仕事/運動エネルギー/仕事と運動エネルギーの関係/位置エネルギー/力学的エネルギー保存則)
- ※ ベーシック(発展)はこの範囲を扱いません
物理基礎 ここまで
『良問の風』で解ける物理基礎の力学は、問1・2 と 問13〜24 の14問です。 『良問の風』は物理基礎の知識だけで解ける問題に、問題番号の右へ囲み文字「基」を付けています。このロードマップでは〈基〉と表記しました。全154問中25問、力学は14問です。
共通テストで物理基礎しか使わないなら、力学はここで一度止まってかまいません。 ここから下は物理です。 剛体・運動量・保存則の併用・慣性力・円運動・単振動・万有引力。物理基礎には出てきません。
M-4 剛体のつり合い
ここでやること:大きさのある物体は、動かないだけでなく「回らない」必要がある。
身につけること
- 使える式は3本。 水平のつり合い・鉛直のつり合い・モーメントのつり合い。質点なら2本で終わりますが、剛体は回転を止める式が1本増えます
- モーメント = 力の大きさ × 基準点から作用線までの距離
- 基準点は自分で選べる。これが剛体の最大の武器です。 知りたくない力が集まっている点を基準に取れば、その力が式から消えます
- 張力を求めたい → 垂直抗力と摩擦力が集まる点を基準に
- 垂直抗力を求めたい → 糸の結び目を基準に
- 未知数を数えてから式を選ぶ。 3個までなら3本で必ず解けます。4個以上なら「離れる/すべる」条件が隠れていると疑ってください
- 日本語を式に翻訳する
- 「台の端を離れる」→ N = 0
- 「すべり出す直前」→ f = μN
- 「傾き始める直前」→ 垂直抗力の作用点が端に寄る
- 静止摩擦は「未知数」、最大静止摩擦は「上限」。
μNは値ではなく上限です。すべり出す直前のときだけf = μNが使えます - 一様な棒の重心は中点。 欠けた部分があるときは、マイナスの質量として扱えます
解く問題
① 良問の風
- 7〔慶應大〕一様な棒+おもり2個。モーメントの初出
- 8〔センター試験〕台からはみ出した棒。「端を離れる」= N=0 の読み替え
- 9〔岩手大+宮崎大〕棒+小球に水平力。3本の式をフルセットで使う型
- 10〔芝浦工大+東海大〕棒を壁に押し当て糸で吊る。基準点をAとBで使い分ける
- 11〔芝浦工大〕床と壁に立てかけた棒。剛体の総合+不等式
② 名問の森【力学・熱・波動I】§2 剛体のつり合い(良問の風 問7〜11 を終えてから)
- 問4〔徳島大〕Level (1)〜(4)★〜★★/p.16 はしごの問題。剛体の定番
- 問5〔京都大〕Level ア〜ウ★/p.19 斜面上の直方体。滑るか倒れるか——2つの条件を比べる
- 問6〔大阪産業大〕Level ア★★ 他★〜★★/p.21 穴あき円板の重心。切り取った部分を元に戻す/別解は穴をマイナスの質量として扱う
調べる
- 力の図示…p.17〜18/力のつり合い…p.19〜20/摩擦力…p.21〜22/ばね…p.23〜24/浮力…p.25〜27/力のモーメント…p.28/剛体のつり合い…p.29/立てかけた棒…p.30〜31/重心の求め方…p.33〜35
- ★ p.30「未知でしかも求める必要のない力のモーメントが0になるように軸を選ぶ」。基準点の取り方の原典
- ★ p.31 Q&A「あらい斜面上の物体の垂直抗力の作用点はどこか」。滑るか転倒するかの二択
- ★ p.35「欠けた部分はマイナスの質量として扱える」
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第2講「ニュートンの運動の3法則」/第6講「力のモーメント」
- ②スタンダード 第2講「ニュートンの運動の3法則」
- ③ベーシック 第2講 PART1〜5(回転運動と力のモーメント/剛体のつりあい/合力・偶力/重心/転倒)
- 物理基礎から積むなら:ベーシック物理基礎 第2講 PART1〜3
M-5 運動量保存則
ここでやること:ぶつかった・分かれた・くっついた、を見たら運動量。
身につけること
- 衝突の中身が分からなくてもいい、というのが運動量の強みです。前後の合計は変わりません
m₁v₁ + m₂v₂ + … = 一定(外力が働かないとき)- 運動量はベクトル、エネルギーはスカラー。 だから運動量は x・y に分けて2本立てられるが、エネルギーは1本しか書けません
- どの方向で保存するかを見極める
- 水平面上の衝突 → 水平方向のみ(鉛直は垂直抗力という外力がある)
- 斜め衝突 → x, y 別々に2本
- 台が床に固定されていたら、水平方向すら保存しません。「固定されている/自由に動く」の一語を必ず拾う
- 2本目の式をどれにするか(ここで差がつきます)
- e が与えられている → e の式。エネルギー保存を書いてはいけません(e<1 なら成り立たない)
- 「完全弾性衝突」「なめらかに」 → e=1 の式を使う。エネルギー保存でも同じ答えですが、e=1 は1次式、エネルギーは2次式なので計算量が段違いです
- 「一体となった」 → 速度が共通なので未知数1個。運動量保存の1本だけで終わり
- 反発係数は相対速度の式。
e = −(衝突後の速度の差)/(衝突前の速度の差)。両辺の引き算の順序を必ず合わせる - 力積を問われたら差を取るだけ。 力の大きさも作用時間も分からなくても
mv' − mvで出ます。「壁に与えた力積」は作用・反作用で符号を反転 - 瞬間的な衝突では重力を無視してよい。 一定の力の力積は、ごく短い時間なら無視できるからです
解く問題
① 良問の風
- 25〔センター試験+熊本大〕水平面での衝突 → あらい斜面。運動量+e → エネルギーの連結
- 26〔芝浦工大〕振り子の衝突+弾丸の撃ち込み。e の値ごとの型を1問で一望
- 27〔福岡大〕円形パイプ内で衝突を繰り返す。速度が共通値に近づく
- 28〔センター試験〕空中で衝突・合体。放物運動 → 運動量保存 → 放物運動の3段
- 29〔立命館大+東北工大〕ロケットの多段分離。「放出後から見た速さ」=相対速度の読み替えが山
- 30〔東邦大〕2次元の弾性衝突。運動量2本+エネルギー1本
② 名問の森【力学・熱・波動I】§5 運動量保存則(良問の風 問25〜30 を終えてから)
- 問13〔宇都宮大〕Level ★/p.38 リング内の質点。何度も衝突を繰り返す
- 問14〔名古屋市立大〕Level ★/p.42 3次元の分裂。成分分解
- 順序:問13(相対速度としての e)→ 問14(成分分解)
調べる
- 力積と運動量…p.57/運動量保存則…p.58/衝突・分裂…p.59/静止からの分裂は速さが質量の逆比…p.60/平面上の衝突…p.60〜61/衝突後の速度を求める3ステップ…p.61/反発係数…p.62/弾性衝突とエネルギー…p.63/等質量の弾性衝突は速度が入れ替わる…p.64
- ★ p.63「全運動エネルギーが保存されるのは e=1 のときだけ。そのときでさえ e=1 の式で処理するのが賢明」
- ★ p.61「床が滑らかだと運動量は水平方向のみ保存する。鉛直方向は重力があるのでダメ」
- ★ p.59 Q&A「運動量と運動エネルギーは何が違うか(身長と体重)」
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第8講「運動量と力積」
- ②スタンダード 第6講「運動量と力積」「運動量保存則,はね返り係数」
- ③ベーシック 第3講 PART1〜8(運動量/力積/運動量と力積の関係/運動量保存則/平面内の場合/合体・分裂/反発係数1・2)
M-6 保存則の併用
ここでやること:エネルギー保存と運動量保存は、別々の法則。 どちらが成り立つかを見分ける。力学の分水嶺です。
身につけること
- 3つの場合を覚える
| 状況 | 運動量 | エネルギー |
|---|---|---|
| 摩擦あり・外力なし | ○ | × |
| 摩擦なし・外力あり(床に固定された台) | × | ○ |
| 摩擦なし・外力なし | ○ | ○(連立して解ける) |
- まず「床は固定か、動くか」を読む
- 台が固定 → 台は舞台装置。物体だけのエネルギー保存で片付く
- 台が自由に動く → 水平方向の運動量が保存する。未知数が2つになるので式も2本(運動量+エネルギー)
- 「最高点」「台に対して停止」を見たら、相対速度0。 つまり2つが同じ速度。この一手で未知数が1個減り、運動量保存だけで答えが出ることもあります
- 摩擦熱の距離は「相対的に」すべった距離。 床から見た移動距離ではありません。台も動いている問題では必ずここを間違えます
- 「その後どうなるか」は運動量から論理的に決まる。 外力が働いていない以上、全体の運動量は常に初期値のまま
- エネルギーで速さ、運動量で向き。 符号の判定は必ず運動量に戻ります
- 動く台の上に立って保存則を書いてはいけません。 保存則は静止系(地面)で使うものです
解く問題
① 良問の風
- 31〔東洋大+福岡大〕ばねで押し縮めた2物体+壁との弾性衝突
- 32〔センター試験〕台上の曲面。(1)台を固定(エネルギーのみ)→ (2)台を自由(運動量+エネルギー)。同じ配置で条件だけ変える基準問題
- 33〔東京電機大+大阪公立大〕曲面台に小物体が乗り上げる。最高点=速度一致
- 34〔東京電機大〕台車+振り子+摩擦面。相対的なすべり距離を問う総合問題
② 名問の森【力学・熱・波動I】§6 保存則(名問の森 力学編の山場。5問)
- 問15〔弘前大〕Level ★〜★★/p.46 ばね+容器。2つの保存則の連立
- 問17〔東京電機大+日本大〕Level ★〜★★/p.52 曲面台+小球。
M→∞で極限検算が明示されています - 問18〔東工大+京都大〕Level ★〜★★/p.56 箱の中の振り子。重心系の導入。「運動量が保存されるとき、重心の速度は一定」
- 問16〔大阪大〕Level ★〜★★/p.50 弾丸が木材に入り込む。運動方程式と保存則を並走させる。「摩擦熱はこすれ合った距離 d′ で決まる」
- 問19〔埼玉大〕Level ★★/p.58 滑車+皿+蛙。「問題を1次元に焼き直す」
- 順序:問15 →問17 →問18。この3問で、2保存則の併用・極限検算・重心系と段階が上がります
調べる
- 保存則の威力(2大保存則の適用条件の対比)…p.64
- 「最も…」は相対速度に着目…p.65/台上を滑る物体…p.66/重心系…p.67〜68
- ★ p.64 の枠が、上の3分類の原典です。このセクションで最初に読むならここ
- ★ p.65「2物体が動いているとき、"最も……"は相対速度に着目」。「ばねが最も縮んだとき」「台上の最高点」「台に対して停止」がすべて相対速度0に翻訳されます
- ★ p.65「動く台の上の人に保存則を用いさせてはいけない」
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第13講「2体問題」。「台が動く」型はスタサプでは2体問題として扱われます
- 第9講(総合演習(1))は問題解説のみ。力学前半の演習の区切りに
- ②スタンダードには対応する講がありません
- ③ベーシック 第3講 PART4〜6(運動量保存則/平面内の場合/合体・分裂)
M-7 慣性力
ここでやること:電車が急発進したとき、体が後ろに引っ張られる「あの力」。
身につけること
- 加速する観測者にとってだけ現れる力。 地面から見れば何も引っ張っていません(体が取り残されているだけ)
- 大きさ
ma、向きは加速度と逆。 図に描き足す位置は物体の重心 - 手順は3つ。①観測者が乗る乗り物の加速度を調べる ②それと逆向きに
maを描き足す ③静止して見えれば力のつり合い、動いて見えれば運動方程式 - どちらの立場で解いてもよい。答えは必ず一致します。 だから 「どちらが楽か」だけで選んでよい
- 非慣性系の御利益は「止まって見える」こと。 加速する台の上で物体が静止していれば、つり合いの式が書けます。動いているものを追うより常に楽です
- 問題文の主語で決める
- 「車内の人から見て」「エレベーターの中の人が観測すると」→ 非慣性系
- 「地面から見て」「床に対して」→ 慣性系
- 指定があるのに勝手に立場を変えると、加速度の値がズレて事故ります
- エレベーター内は
gをg±aに置き換えるだけ(見かけの重力) - 転倒問題は慣性力ではなくモーメント。 「傾き始める=垂直抗力の作用点が端に来る」という M-4 の読み替えを、慣性力を描き足したうえでやります
解く問題
① 良問の風
- 35〔京都府立大〕加速する電車の床上をすべる物体。すべり出したことから μ の上限を出す
- 36〔センター試験〕エレベーター内の小球。見かけの重力
- 37〔玉川大+大阪電通大〕加速する三角柱の上の物体。「張力が0になる加速度」「垂直抗力が0になる加速度」。本セクションの主役
- 38〔金沢大+お茶の水女子大〕直方体の転倒。モーメントと慣性力の合流点
② 名問の森【力学・熱・波動I】§7 慣性力(良問の風 問35〜38 を終えてから。5問)
- 問20〔一橋大+近畿大〕Level ★★〜★/p.60 ばねはかり+エレベーター。見かけの重力
g′ = g + α - 問21〔東京電機大+玉川大〕Level ★/p.62 動く斜面台。「乗り物に限らず、台が動く場合も慣性力が活躍する」
- 問22〔法政大+筑波大+大阪大〕Level ★〜★★/p.66 問題文自体が「慣性力を使う解法 I」と「静止系で解く解法 II」を並べている。締めが 「I のほうがはるかにスマートで計算も楽。しかし入試問題としては II で扱うケースが多い」——この1問は必ずやること。解法を選ぶとはどういうことかが、そのまま書いてあります
- 問23〔横浜国大+東工大〕Level ★〜★★/p.69
- 問24〔立命館大〕Level ★〜★★/p.71 動滑車。「質量のない物体は、加速度運動していても力のつり合いが成り立つ」
- 問31(p.92)も慣性力の完成問題です。M-9 と一緒に
調べる
- 慣性力(3ステップ)…p.69/エレベーター内…p.69〜70/慣性力の根拠…p.71〜72/見かけの重力の向き…p.72
- ★ p.69 の枠がこのセクションのすべて。「1 加速度を調べる → 2 逆向きに
mαを描く → 3 静止して見えればつり合い式」 - ★ p.70「見かけの重力加速度
g+α」。問36 はこれで即答 - ★ p.72「慣性力をきちんと取り入れれば、保存則だって用いられる」
- ★ 転倒(問38)は p.31 の Q&A に戻ります
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第12講「慣性力」
- ②スタンダードには対応する講がありません
- ③ベーシック 第4講 PART4「慣性力」(円運動の講の中に入っています)
M-8 円運動
ここでやること:円を描いて回るには、中心へ引っ張り続ける力が要る。
身につけること
- 向心力という新しい力があるわけではありません。 すでに描いた力(張力・垂直抗力・重力・摩擦)の合力が中心を向いているだけ。「向心力を描き足す」のは誤りです
v = rω/a = rω² = v²/r/T = 2π/ω- 等速か、等速でないかをまず判定する
- 水平面内の円運動 → 高さが変わらない=速さ一定。半径方向1本+鉛直方向のつり合い1本で終わり
- 鉛直面内の円運動 → 高さが変わる=速さが変わる。必ずエネルギー保存とセット
- 2本立ての順序は「エネルギー → 半径方向」。 位置から速さをエネルギーで出し、その v を半径方向の式に代入。逆順にすると v が未知のまま残って詰みます
- 「離れる/ゆるむ」条件は、半径方向の式に N=0(T=0)を代入する。 エネルギー保存の式に入れるのではありません
- 最下点で張力は最大、最高点で最小。 符号を暗記せず、毎回「中心はどっちか」を指差してから式を書く
- 絶対に、水平方向や鉛直方向でつり合い式をつくってはいけません。 半径方向だけです
- 「糸的」か「棒的」かを区別する。 糸なら「ゆるむ」心配があるので
v² ≥ grの条件が要りますが、棒なら軌道からはずれないのでエネルギー保存だけで決まります - 遠心力を使うと、等速円運動は「つり合い」として扱えます。 一緒に回る立場(回転板上で静止)なら遠心力、外から眺める立場(振り子)なら運動方程式が自然。混ぜると必ず事故ります
解く問題
① 良問の風
- 39〔山口大〕板の穴に通した糸+おもり。摩擦がある回転板上で静止する ω の範囲
- 40〔九州大+信州大+センター試験〕円すい内面。円すいが加速する場合まで(M-7 との合流)
- 41〔東京電機大+長崎大〕円すい斜面上。「面から離れる最小の角速度」= N=0
- 42〔山口大+同志社大〕円筒面の内側を一周。一周する最小の高さ/途中で離れる位置
- 43〔名古屋大+神戸大〕糸+くぎ。半径が変わると張力が不連続に変わる
- 44〔北海道大〕半円柱を滑り降りる。円運動 → 放物運動の接続
② 名問の森【力学・熱・波動I】§8 円運動(良問の風 問39〜44 を終えてから。6問)
- 問25〔埼玉大〕Level ★/p.74 「遠心力を用いると、等速円運動は力のつり合いとして扱える」
- 問26〔大分大〕Level ★〜★★/p.76 回転する棒上のビーズ
- 問28〔筑波大+名古屋大〕Level ★〜★★/p.82 鉛直面内の円運動=①エネルギー保存 ②遠心力を入れた半径方向のつり合いの2本柱
- 問30〔名古屋工大〕Level ★〜★★/p.89 斜面上の円運動。「
gをg sinαに置き換えれば、鉛直面内と同じ」——斜面を標準形に翻訳する - 問29〔東京大〕Level ★〜★★/p.85 「計算ではなく、定性的に抗力が最大になる点を決めたい」。どこが臨界かを計算前に見抜く
- 問27〔大阪大〕Level ★/p.80 自動車のカーブ。遠心力による剛体のつり合い(M-4×M-8)
- 順序:問25・26(遠心力の効用)→ 問28(2本柱と
T=0)→ 問30(g→g sinα)→ 問29(定性判断)
調べる
- 等速円運動…p.73/遠心力で解く3ステップ…p.74/面から離れる ⇒ 垂直抗力=0…p.75/鉛直面内の円運動を解く(1 エネルギー保存 → 2 半径方向でつり合い)…p.75/円筒面…p.76/1回転の条件…p.77/円軌道からはずれる2条件…p.78
- ★ p.76「絶対に水平方向や鉛直方向でつり合い式をつくってはダメ。半径方向だけができる」。最も失点する箇所
- ★ p.78「糸でなく棒なら、エネルギー保存だけで条件が決まる。問題が"糸的"か"棒的"かははっきり区別しなければならない」
- ★ p.73〜74「向心力は新たな力の登場ではなく、合力が円の中心を向くという性質を表しているにすぎない」
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第10講「円運動」
- ②スタンダード 第7講「円運動」「鉛直方向の円運動」
- ③ベーシック 第4講 PART1〜3(角速度/等速円運動/鉛直面内の円運動)
M-9 単振動 ── 4つに分かれます
ここが力学でいちばん量が多いところです。 良問の風6問に対して名問の森が13問あるので、4つに分けました。
| やること | 良問の風 | 名問の森 | |
|---|---|---|---|
| M-9① | 単振動と見抜く/振動中心を決める | 45・46 | 31・32・33 |
| M-9② | 時間を出す/x(t) を書く | 47 | 34・35 |
| M-9③ | 他の分野が挟まる(衝突・摩擦・遠心力・剛体) | 48 | 40・41・43 |
| M-9④ | 復元力を自分で作る | 49・50 | 36・42/上位 37・38・39 |
良問の風の並び(45→50)は切っていません。 順にやれば、そのまま①→④になります。
4ステップ(M-9 全体で共通。毎回この順)
- 力のつり合いの位置を求める
- そこを原点に
x軸をとる - 座標
xでの合力を書いてF = −Kxの形に整理する Kを読み取ってT = 2π√(m/K)
エッセンス p.82 の枠がこの4ステップそのものです。単振動の型はこれ1つしかありません。 ①〜④のどこで詰まっても、ここに戻ってください。
F = −Kx + 定数 でも単振動です。 定数が付くと振動中心が 定数/K だけずれるだけで、周期も振幅の出し方も変わりません。切り離し・エレベーター内・摩擦つきは、全部この形です。
M-9① 単振動と見抜く/振動中心を決める
ここでやること:F = −Kx の形が作れたら、それは単振動。
身につけること
- ばねだから単振動なのではありません。 変位に比例して逆向きの力が働くから単振動です。だから浮力でも重力でも単振動になります(→ M-9④)
- 振動中心は「力のつり合いの位置」。自然長の位置ではありません。 鉛直ばねなら「
mgだけ伸びた位置」が中心。ここを取り違えると振幅も速さも全部ずれます - 重力は周期に効きません。 つり合いの位置をずらすだけ。だからばね振り子は水平でも鉛直でも斜面上でも
T = 2π√(m/k)。エレベーター内でも同じです - エネルギーの立て方が2通りあります(ここが本小節の中核)
- A方式
½mv² + ½Kx² = 一定……xは振動中心からの距離 - B方式
½mv² + mgh + ½kx² = 一定……xは自然長からの距離 - 単振動と見抜けたなら A方式。 たいていA方式のほうが計算が楽です。一度は両方書いて、速さを比べてみてください
- A方式
- 「離れる/床から浮く」は
N = 0- ただし
N = 0になっても、必ず離れるとは限りません。式の上でN = 0からN < 0に転じるときに離れます N = 0になる点は「振動の端」ではなく「加速度が下向き最大の点」です
- ただし
- 切り離し・一体化の型:その瞬間、位置は変わらないが、振動中心が変わる。旧つり合い位置と新つり合い位置のずれ=振幅。この一行で振幅が出ます
½(m+M)u² = ½kx²とやるミスが多発します。xの測り方が変わったことを見落としている形です
解く問題
① 良問の風
- 45〔東京学芸大+名古屋大〕ばねに押されたA・B。離れる条件
N=0/x-tグラフの描図 - 46〔高知大〕吊った2物体から切り離す。振動中心のずれ=振幅/エレベーター内でも周期は不変
② 名問の森【力学・熱・波動I】§9
- 問32〔山口大+東京学芸大〕p.96 「離れるときは
N=0だが、N=0になると必ず離れるとは限らない。式の上でN=0からN<0になるとき離れる」 - 問33〔東工大〕p.99 A方式とB方式の比較がここにあります。「一体となったので、力のつり合い位置が変わったことに注意」
- 問31 p.92 電車内の振り子。見かけの重力のもとでは直線 AB が「水平線」(M-7 を終えてから)
- 順序:良45・46 → 問32 → 問33
調べる
- 単振動の特徴(等速円運動の正射影/
v_max=Aω/両端でv=0)…p.80/単振動 ⇔F=−Kx…p.81/証明と周期の3ステップ…p.82/ばね振り子…p.83/つり合い位置は振動中心・放した点は端…p.84/エネルギー保存の2通りの立て方…p.86 - ★ p.82 の枠が単振動の唯一の型。上の4ステップと同じものです
- ★ p.84「ばね振り子の周期は床から立てても、なめらかな斜面上に置いても変わらない」。問46 はこれで即答
- ★ p.86 の2通りが、A方式/B方式の出典です
- ★ p.83 の High「
F = −Kx + Cも単振動」。切り離し・エレベーター内・摩擦つきは全部この形
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第11講「単振動」
- ②スタンダード 第8講「単振動」
- ③ベーシック 第5講 PART1「単振動」/PART3「鉛直ばね振り子」
- ※ 電気振動(電磁気 E-10)は、この回の翻訳です。 別冊の横串カード「力学↔電気振動の対応表」を一緒に使ってください
M-9② 時間を出す/x(t) を書く
ここでやること:単振動は等速運動ではない。だから距離が半分でも、時間は半分ではない。
身につけること
- これが M-9 でいちばん多い誤りです。
t = ¼T + ⅛Tとしてしまう。名問の森が名指しで警告するほど頻出します - 時間は必ず「対応する円運動の角度」に直す
- 単振動は等速円運動の正射影です
- 角度
θ回るのにかかる時間は(θ/360°) × T - これ1つで、M-9 の時間計算は全部片づきます
sinかcosかは、t = 0でどこにいるか。中心ならsin、端ならcos。迷ったら円を描くω = 2π/T- 中心と下の端が分かれば、上の端は決まります(対称性)
- 座標軸を決めたら、すべてのベクトル量の正の向きは座標軸の向き。途中で変えないこと
- 「振幅の上限」「浮かない条件」は、時間ではなく加速度の問題。
|a|_max = Aω²がgを超えた瞬間に浮きます
解く問題
① 良問の風
- 47〔名城大〕ばねの両端に物体A・B。Bが床から離れない条件(振幅の上限)/
xをtの関数で表す
② 名問の森【力学・熱・波動I】§9
- 問35 p.105 「
t₂ = ¼T + ⅛Tという誤りが目立つ。距離が半分なら時間も半分、とはいかない。単振動は等速運動ではないのだから」。正しくは対応する円運動を描いて120°回転 →t₂ = T/3。この1問が本小節の中心です - 問34〔静岡大〕p.102 「座標軸があれば、すべてのベクトル量の正の向きは座標軸の向き」/「中心と下の端が分かれば上の端は決まる」/「2通りの可能性があるときは、分かりやすいほうを選ぶ。得られた式はもう一方も含んで成り立っていることが多い」
- 順序:良47 → 問35(角度→時間)→ 問34(座標軸と対称性)
調べる
- 単振動は等速円運動の正射影…p.80/
x-tグラフは cos 型と読み取る…p.85 - ★ p.80 の正射影の図が、時間計算の全部の根拠です。円を描く習慣を、ここで付けてください
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第11講「単振動」
- ③ベーシック 第5講 PART2「単振動と三角関数」——
x(t)を扱うのはこのPART。本小節に一番近いです - ②スタンダード 第8講「単振動」
M-9③ 他の分野が挟まる単振動
ここでやること:単振動そのものは変わらない。前後に別の物理がくっつくだけ。
身につけること
- 区切って、それぞれ別の物理で処理する。 衝突は運動量と
e、単振動は4ステップ。衝突直後の速度と位置を、単振動の初期条件として引き継ぐ - 摩擦が挟まる場合
- 動摩擦力は「一定の力」。だから
F = −Kx + 定数の形になり、向きが変わるたびに振動中心が飛びます(半周期ごと) - ⚠ ここが M-9 で最も事故が多い箇所:「単振動」という見方では摩擦熱を入れてはいけません。 動摩擦力はすでに合力
Fの中に入っているからです。単振動の見方とエネルギー保存の見方を、同じ式に混ぜないこと
- 動摩擦力は「一定の力」。だから
- 遠心力が挟まる場合
- ⚠ 「重力は周期に効かない」を、そのまま遠心力に持ち込むと間違えます
- 周期が不変なのは「一定の力」が加わる場合。遠心力は半径
rとともに変わる力です - 一定の力かどうかを、毎回確認してください
- 剛体のつり合いが挟まる場合:2つの垂直抗力は等しくありません。 モーメントのつり合いが要ります(M-4 の回収)
- 2回目の衝突が起こる条件:単振動で戻ってきたときの位置と、相手の位置を比べる。単振動の側は「振幅と周期」だけ分かれば足ります
解く問題
① 良問の風
- 48〔千葉大+学習院大〕斜面上のばね+弾性衝突。衝突(運動量+
e)→ 単振動の接続。2回目の衝突が起こるdの条件まで
② 名問の森【力学・熱・波動I】§9
- 問41〔東京大〕p.123 摩擦のある床。向きが変わるたびに振動中心が飛ぶ。「『単振動』という見方では摩擦熱を入れてはいけない」
- 問40〔北海道大〕p.121 回転円板上のばね。「
T = 2π√(M/k)とする誤りが多い。周期が不変なのは『一定の力』が加わる場合。遠心力はrとともに変わる力である」 - 問43〔東京大〕p.129 剛体のつり合い×単振動。逆回転する2つのローラー上の板。「2つの垂直抗力は等しくない」——M-4 の回収点
- 順序:良48 → 問41 → 問40 → 問43
調べる
- エネルギー保存の2通りの立て方…p.86/High 摩擦のある場合のばね振り子(振動中心が行きと戻りで変わり、振動が減衰する)…p.87
- ★ p.87 が問41 の原型です。振動中心が半周期ごとに飛ぶという絵を、先に見ておいてください
- ★ p.83 の High「
F = −Kx + Cも単振動」——摩擦つきはこの形
動画で見る(スタサプ)
- ⚠ 本小節に対応する単元講義はありません(複合問題なので当然です)
- ①トップ&ハイ 第15講「総合演習(2)」(力学後半)を演習として当ててください
- M-5(運動量)と M-8(円運動)を先に終えていることが前提です
M-9④ 復元力を自分で作る
ここでやること:ばねが無くても単振動は起こる。復元力を自分で作れるかどうかだけ。
身につけること
- ここが M-9 の到達点です。手順は4ステップのまま。変わるのは③の「合力を求める」中身だけ
F = −Kxを"導く"ときの手順- 静止(つり合い)の状態を先に描く
- そこから
xだけずらす - 増えた力・減った力だけを書き出す(つり合っていた分は消えます)
xに比例する項が残れば単振動。その係数がK- 3が要点です。 全部の力を書き直そうとすると詰まります。「差分だけ」と言い切ってください
- 浮力の場合:静止位置から
x沈むと、水面下の体積がSx増え、浮力がρSgx増える →F = −ρSgx→K = ρSg - 振り子の場合:復元力は重力の接線成分
−mg sinθ ≒ −mg(x/L)→T = 2π√(L/g) - 近似が要るかどうかの違い
- 振り子は
sinθ ≒ θが要ります(だから問題文に「微小振れ」と書いてある) - 浮力は近似不要。最初から比例しています
- この違いを説明できるようにしておいてください
- 振り子は
- 周期が変わるのは
Kかmが変わったときだけ。支点が変わればLが変わる/エレベーターではg → g+a - 単振動でなくなる瞬間がある:浮きが完全に水面下に入ると浮力は一定になり、単振動から等加速度運動に変わります。復元力の式が成り立つ範囲を、必ず自分で言うこと
解く問題
① 良問の風
- 49〔青山学院大+センター試験〕くぎのある振り子。支点が変わると周期が変わる(長さの違う半周期ずつを足す)/エレベーター内では
g → g+a - 50〔岐阜大+琉球大〕浮力による単振動。復元力を浮力の変化分から導く(
F = −ρSgx)。単振動の本質を突く問題
② 名問の森【力学・熱・波動I】§9
- 問42〔九州工大〕p.127 浮きの上下振動(良問の風 問50 の上位)。「位置
xでは水面下の体積がSx増し、浮力がρSgxだけ増す。これが復元力だと気づけばFは即座に決められる」/「完全に水面下に入ると浮力は一定となり、単振動から等加速度運動に変わる」 - 問36〔東京大〕p.108 ゴムひも。「自然長以下ではゆるんで力を生じない」/「『急に』=『瞬間的に』。おもりは静止したまま」
③ 名問の森・最上位(東大・京大・医学部を狙うなら)
- 問37〔早稲田大〕p.111 連成振動。「対称性の見方はとても大切」/「ばねの力は自然長からの伸び・縮みが命!ばねの力は両端に現れる」
- 問38〔山口大〕p.115 重心系。「質量が等しく反発係数が1の衝突では、速度が入れ換わる」/「ばね定数は自然長に反比例する」
- 問39〔名古屋市立大〕p.117 「重心
Gは外力に従って運動する。本問の外力は重力なのでa_G = g。すると重心系から見ると慣性力が重力を打ち消してしまう。一種の無重力状態であり、P と Q はゴムひもの弾性力だけで動くように見える」
調べる
- 浮力による単振動 EX4(
F = −ρSgx)…p.88/単振り子T = 2π√(l/g)…p.89/合成ばね定数…p.24 - ★ p.88 の EX4 が問50 の原型そのものです。浮力の変化分から
F = −ρSgxを導き、T = 2π√(h/g)まで出しています。問50 の前に読むか、解いた後の答え合わせに使ってください - ★ p.24(直列・並列のばね)——問36 がここを名指しで参照しています
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第11講「単振動」
- ③ベーシック 第5講 PART4「単振り子」——問49 に対応します
- ⚠ 浮力による単振動の単元講義は、①②③のどれにもありません。 エッセンス p.88 で埋めてください
- 出口:ここができたら、電磁気 E-10(電気振動) と 熱の断熱変化による振動 が、同じ道具で解けます
M-10 万有引力
ここでやること:地上でリンゴを落とす力と、月を回している力は同じ。
身につけること
F = G Mm/r²。r は中心間の距離。天体の質量は中心に集まっていると考えてよい。高さ h の点ではR+hg = GM/R²が、G と M を消す道具。 数値が出てきたら、まずこの式で置き換えられないか探す。R と g だけで答えが書ける形になることが多い- 位置エネルギー
U = −GMm/r。マイナスが付いているのは、無限遠を0に取ったから。近づくほど負に深くなります - 軌道の形で道具を選ぶ(このセクションの中核)
- 円軌道 → 向心方向の運動方程式
GMm/r² = mv²/r1本で v も T も出る。エネルギーは要りません - 楕円軌道 → 運動方程式は使えません。ケプラー第2法則(面積速度一定)+エネルギー保存の2本立て
- 飛び去る/戻ってくる → エネルギー保存のみ
- 円軌道 → 向心方向の運動方程式
- ケプラーの整理。第2法則は1つの軌道の中の話、第3法則は別々の軌道どうしの比較
- 面積速度一定は、速度が動径と垂直になる点で使う。 近地点・遠地点のような点で
½r₁v₁ = ½r₂v₂。斜めの点では使いにくい - 「無限遠へ飛び去る」= 全エネルギー ≥ 0。 「速度0で無限遠に到達する」が最小条件です
- 静止衛星は「地球の自転周期と同じ」を T に代入するだけ。 特別な公式は要りません
- ガス噴射は運動量保存。 万有引力の章にありますが、中身は M-5 です
解く問題
① 良問の風
- 51〔関東学院大〕基本の一式。第一宇宙速度
√(gR)≒ 7.9 km/s/第二宇宙速度√(2gR) - 52〔新潟大+大阪公立大〕静止衛星/ガス噴射(運動量保存)
- 53〔大阪公立大+東京理科大〕楕円軌道。面積速度一定+エネルギー保存+ケプラー第3法則
② 名問の森【力学・熱・波動I】§10 万有引力(良問の風 問51〜53 を終えてから)
- 問44〔東京大+名古屋市立大〕Level (1)★ (2)〜(5)★/p.131 円軌道 → 楕円軌道への遷移
- 問45〔金沢大〕p.134 力学編の最終問題
調べる
- 万有引力・
g=GM/R²…p.90/位置エネルギー…p.91/無限遠への脱出…p.92/人工衛星…p.92/ケプラーの法則…p.93/楕円軌道を解く…p.94/力学の理論構成…p.95 - ★ p.90「中心からの距離を用いること。地球の全質量は中心一点に集まっていると思ってよい」
- ★ p.91 Q&A「U は負?」。符号のつまずきはこの半ページで解決します
- ★ p.93 第2法則と第3法則の対比
- ★ p.95「力学の理論構成」は力学全体の地図です。 M-10 を終えたら必ず読んでください。M-1 からの道具立てが1枚で復習できます
動画で見る(スタサプ)
- ①トップ&ハイ 第14講「万有引力,ケプラーの3法則」
- 第15講(総合演習(2))は問題解説のみ。力学後半の演習の区切りに
- ②スタンダード 第8講「万有引力」
- ③ベーシック 第6講 PART1〜3(万有引力/万有引力による位置エネルギー/ケプラーの法則)
力学を終えたら
チェックリスト
- 3つの道具を、問題文を見た瞬間に選べる(時間が要る=運動方程式/始点と終点だけ=エネルギー/ぶつかった=運動量)
- 「離れた」「ゆるんだ」「浮いた」を N=0・T=0 に翻訳できる
- 「すべり出す直前」を f = μN に翻訳できる
- 「最高点」「台に対して停止」を相対速度0に翻訳できる
- 単振動を見たら、まずつり合いの位置を探せる
- エッセンス p.95「力学の理論構成」を読んだ
次に進む前に
力学は他の全分野の土台です。 あとで熱・電磁気に入ったとき、詰まる原因が実は力学だった、ということが本当によく起きます。
- 熱で詰まったら → 力のつり合い(M-4)に戻る
- 電磁気で詰まったら → 放物運動(M-1)と終端速度(M-2)に戻る
- 電気振動で詰まったら → 単振動(M-9)に戻る
演習を足すなら、スタサプ〈トップ&ハイ〉第9講「総合演習(1)」(力学前半)と第15講「総合演習(2)」(力学後半)が区切りです。良問の風には章末の総合問題が無いので、ここを区切りに使うと設計が楽になります。
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